塗り足しと余白について
最近はオンライン化が進み、手軽に印刷会社に注文できるようになりました。デザイナーのような専門職ではなくても利用する人が増えています。しかし、印刷会社に注文をしたことがある人でも、塗り足しと余白がなぜ必要なのか理解している人は少ないのではないでしょうか。対面ではなくオンラインで簡単に完結してしまう分、印刷会社側としては、お客さまの理想の仕上がりが想像しづらいです。そのため、入稿データに塗り足しと余白がないと、想像と違う仕上がりになってしまう恐れがあり、不備データに繋がります。
今回そんな大事な塗り足しと余白について、初心者の方にもわかりやすいように解説していきます。
印刷会社では多くの注文を効率的に印刷するため、大きな紙を使い一度に多くの枚数を印刷をしています。印刷したあとも、1枚ずつカットするのではなく、まとめてカットしています。そのため、刃先や紙がズレて1〜2mmのカットズレが起きます。もちろん、ズレが起きないよう最善を尽くしていますが、どうしても避けることができません。
さらに、塗り足しと余白がないと、見栄えが悪くなりデザインが成り立たなくなります。理想に近いデザインを作るためにも入稿データには塗り足しと余白を必ず付けてください。
塗り足しは仕上がり線より広く
先ほど説明した通り、仕上がり線ぴったりにデザインしてしまうと、カットがズレた時に印刷物の下地が見えてしまう恐れがあります。カットズレを避けるためには、仕上がり位置よりも外側に背景をつけ足してつくる必要があります。このつけ足す背景のことを塗り足しと言います。
塗り足しに多い不備
塗り足しの不備データで多いのは、塗り足しの一部分だけ不足しているか、そもそも塗り足しがないかの2パターンです。データに不備があると、再入稿が必要になり、最悪納期がズレてしまう可能性があります。不備にならないようルールに沿った塗り足しを作りましょう。
余白でデザインが切れるのを防ぎます
次に、余白についてよくある不備や改善のポイントをお伝えします。
よくある例として、文字やデザインを大きく見せたいと思い、仕上がり線まで大きくレイアウトしてしまうことです。これも塗り足しと同じように、仕上がり線ギリギリに配置してしまうと、大事な情報が切れて見えなくなります。デザインにもよりますが、枠の中いっぱいに情報を詰め込んだデザインより、余白を意識したデザインは見やすくてキレイになります。仕上がり線を目安に十分な余白を作り、理想通りの作品にしましょう。
外枠を作りたいとき
また、以下の図のように均等な枠を作る際の注意点は2つあります。1つ目は仕上がり線に沿った枠のデザインです。枠が狭いと線幅が均等にならずズレが目立ちます。余白の分だけ内側にしっかりと太めの枠があるとズレが目立ちません。
2つ目は仕上がり線よりひとまわり小さい枠のデザインです。仕上がり線から近すぎると枠の外側が均等にならずズレが目立ちます。仕上がり位置から十分に距離をあけてください。
印刷物によって塗り足しと余白は異なる
印刷会社や印刷物によってカットする方法や機械が変わります。それは塗り足しや余白のルールも同じです。なので、データを作る際には各会社のテクニカルガイドに沿って作っていきましょう。
塗り足しと余白が足りない場合には申し訳ありませんが、不備データとして再入稿の対象となってしまいます。
ご注文の際や入稿前には、今回ご紹介したルールや注意点を参考にデザイン入稿データを作ってみてください。